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2021年10月13日

岸田政権が掲げた「金融所得課税」の見直しとは

岸田首相は先日の会見で金融所得課税の見直し検討を、一時見送る方針を示し、話題になっています。

金融所得課税とは、株式譲渡益や配当金などの金融所得に課される税金で、現在は一律20%(内訳は、所得税15%、住民税5%)の課税です。

この課税率を20%から25%へ引き上げることで税収を増やし、中間層や低所得者に配分することを検討するというのですが、ここで問題になるのが金融所得課税は「一律の税率」ということです。

給与所得や事業所得の所得税は、所得が多くなるほど段階的に税率も高くなる「累進課税」(5~45%)で、4000万円以上の所得の場合、4000万円を超えた所得に対し最高税率は45%が適用されます。
しかし、年間の総所得が1億円を超えると課税率が下がっていくいわゆる「1億円の壁」があるのです。
それは、富裕層の多くは金融所得を所有が多く、金融所得が増えても課税率は一律のままのため、50億に対しては16%台程度と言われています。

そこで、検討されていたのが、金融所得課税を上げですが、

「実質、富裕層びいきの施策は変わらないのではないか?」
「金融所得課税の施策の見直しを検討したほうがいいのでは?」
または、
「株価下落につながるのでは?」
と、一部からは批判と疑問の声が上がっていました。

数年前から政府が資産づくりの第一歩ということで、「貯蓄から投資へ」を合言葉に少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」など、中低所得者や若者向けの投資商品を推進していますが、もちろんこちらも金融所得課税の一律引き上げの対象になります。

金融所得課税の引き上げが起こることで、税率引き上げ前の一斉株式売却や株式投資の敬遠にもつながると予想されます。

一方で、金融所得を増税した結果で税収増が見込めれば、それによって助かる人が出てくることも確かです。

今回は一時見送りとなりましたが、岸田首相がどのような金融施策を行っていく予定なのか今後の動向が気になります。