2.創業を考えている事業の経験が乏しい
通常、金融機関が融資をする際に一番参考にするのは、「実績」です。しかし、これからその事業を行うのですから、創業者としての実績はありません。そこで見られるのが、「その事業における経験」です。よくあるのが、「以前から夢だった、おしゃれなカフェをするために創業したいのです」という、まったく飲食業の経験がない人物がカフェを開業したいという相談例。こういうケースはとくに、日本政策金融公庫に創業融資を申し込んだ場合、NG になりがちです。
いくら昔から夢見ていたとしても、飲食業の経験がなければ失敗する確率が高いからです。また、日本政策金融公庫が2016年12月に発表した「新規開業パネル調査」によると、2011年に開業した 企業のうち、2015年の時点での廃業率は10.2%。そのうち飲食業の廃業率は、18.9%と一番高かったのです。飲食業は、接客、製造 (調理)、仕入、在庫管理など、多くのノウハウが必要な業種です。
そういったノウハウを知っている経験者でさえも失敗する確率が高い業種なので、ノウハウを持っていない、経験のない創業者が開業しても、失敗する確率が高いのです。一説によると脱サラ・未経験者による飲食店が3年以内につぶれる割合は 90%とも言われています。
日本政策金融公庫には融資先に対する莫大なデータがあるので、「経験のない業種に参入する 創業者は失敗しやすい」ということがわかっています。だから、創業を考えている事業に対する経験が乏しい人には、融資をしてもらえる確率はとても低くなるのです。では、どれぐらいの経験があれば融資してもらいやすくなるか―
だいたい3年以上の経験は積んでおいた方がいいと思います。さらに具体的に言うと、その業種において責任者(運営者)の経験があれば、 借りやすくなります。先ほどの飲食業の例で言うと、店長経験をしていると融資に有利に働くということになります。店長ともなれば、そのお店における利益管理についての経験をしています。利益管理の経験をすることで、経営者になったときの資金繰り管理にとても活きてきます。また責任者ともなれば、その店舗における売上についても責任を持つ立場になりますので、売上を上げるための方法を考え、さらに人を雇う・使う貴重な経験を積むことができます。このように店長をしていれば、経営者として必要とされる経験を積むことができていると金融機関には判断してもらえます。「思い立ったが吉日」とは言いますが、こと創業に関しては、 必要な経験を身につけてから行動に移した方がお金は借りやすいと考えておきましょう。